
ふだん何気なく聴いているラジオの生放送番組。
事前準備や放送中の進行、放送終了後のタイムスケジュールを解説します。
ラジオの生放送の番組はどのように進行されていくのでしょうか?
実は驚くほど様々な要素が詰まっているのです。
生放送開始前から放送終了後までをくわしく解説していきます。
生放送前の事前準備
キューシートを作成する
キューシートとはラジオ番組をどのように進めていけばよいかのタイムテーブル、指針です。
台本とは違い、このゾーンはこれ、あのゾーンはこれ、とブロックごとにその時間に何をやるのか?が書き込まれています。
このキューシートを元にラジオの生放送は進行していきます。
キューシートの作成方法については下記記事で書いていますのでご参考に。
キューシートを作成したら、スタッフ用・演者用・またタレント事務所のマネージャーさんの分まで少し多めに印刷をして準備をします。
台本をチェックする
基本ワイドの生放送では作家もスタッフに入っています。
事前に打ち合わせをした内容を元に、ディレクターは台本をチェックします。
「不適切な表現はないだろうか?」
「キューシートに書かれている提供クレジットと違いはないだろうか?」
「競合スポンサーとバッティングするような表現はないだろうか?」
事前に放送事故を防ぐため、ありとあらゆるチェックをして、台本を印刷して準備に入ります。
パーソナリティがスタジオ入り
これは出演者や番組放送の年数や、慣れているか?慣れていないのか?によって違いますが、だいたいパーソナリティは1時間前にスタジオ入り。
スタジオではパーソナリティとキューシートと台本を元に打ち合わせを行います。
ここでは、台本や選曲など事前の打ち合わせの中で変更することも多々あります。
ゲストが早めに到着した場合には挨拶に伺いつつ、放送前の準備も進めなければいけないので、慌てる瞬間はだいたいこの放送直前だと思います。
音素材合わせ
パーソナリティや演者との打ち合わせが済んだら、番組で使用する音素材のチェックです。
キューシートと台本を元にディレクター、ミキサー、ADで実際に順番に使用する音素材を合わせていきます。
例えば
「ここでパーソナリティが叫ぶのでエコーをかけましょう」
「このワードが出たらBGMをカットインしていきましょう」
「このゾーンではまず私がジングルをたたきます」
そして放送で使用するCDが飛ばないかどうか?イントロ頭の曲のレベル(音の大きさ)をチェック。
曲によっては出だしの音が大きい音もあれば小さい音もあります。
どのレベルで音を出せば心地が良いのか?もチェックします。
番組ホームページやSNSの更新チェック
事前にホームページに書き込んでいる番組概要が当日の内容で合っているか?抜けがないかもチェック。
SNSでは主にTwitterのアカウントを持っている番組も多いですね。
本番直前にもツイートをして。このあと生放送の番組を告知。
また、リスナーが放送に参加するためのハッシュタグや番組メールアドレスも書き込んで更新します。
生放送中の進行について
時間配分
キューシート上では〇時〇分にコーナーが終わって〇分に曲が流れるという構成になっていても、生放送では時間が押したり巻いたりなどは日常茶飯事。
これをディレクターとADがともに時間配分を計算します。
生放送中で命ともいえるのがストップウォッチ。
ストップウォッチの使用方法などはこちらにも書いています。
当然、時間が押してしまえばCMを出す時間や提供クレジットの読み上げなどが出来ないため、デッド時間を常に計算していきます。
また、せっかくゲストを読んで出演をしていただくのに、コーナー自体が短くなてしまうという事態にならないためにも時間配分は常に気を配っています。
OA曲が流れている時にしていること
慣れているパーソナリティだったらタバコを吸いに行っていたり、トイレに行っていたりします(笑)
OA曲には事前に曲タイミングといって、一つの形式で曲の時間をキューシートに書き込んでいます。
曲タイミングの例
A:12" B:1'45 C:1'55” B:3'02" Total:3'35"CO
A→イントロ、B→1コーラス終わり
C→2コーラス歌あたま、B2→2コーラス終わり
Total→曲のトータル時間、CO→曲の終わり方がカットアウト
例えば『A:12”』とは、イントロが出始めてから歌頭に入るまでの時間です。
イントロの中でパーソナリティがカッコよく曲紹介するために、しっかりと時間を計っているのです。
生放送中に曲が流れている最中は、時間の押し巻きによってあらゆることを考えます。
押しているので1コーラス終わりでパーソナリティしゃべりださせるのか?
巻いているので全て聴かせるのか?
イントロが出た時間でアルファベットの時間に到達するかが何分になるのか?を計算して時間配分しながら進行します。
電波や回線チェック
生放送中の中継コーナーや交通情報、電話出演のゲストなど、事前に回線チェックや電波チェックを行います。
その際に時間は中継コーナーや交通情報では〇時〇分ころにOAに入ることを伝え、電話出演のゲストには携帯電話の電波状況のチェック。
また、最近ではZOOMでの出演も多いので、出演者のネット環境などもチェックをします。
メールやTwitter
放送前や放送中に呼び込んでいるメールやTwitterは作家が集約して抜粋します。
ディレクターとOA候補を打ち合わせしながら、パーソナリティに読ませるために、作家は誤字脱字やメールの個人情報を読み上げないように消したりなどのリライトも本番中に行っています。
速報対応
生放送に従事していると様々なことが起こります。
ニュース速報が入ってくるので対応。
また『地震が起きた時のために何を話せば良いのか?』『どう放送を進行していけば良いのか?』マニュアルも存在します。
生放送終了後にやることは?
写真撮影
無事に生放送が終わったら、出演者のSNS用の写真や番組ホームページやTwitter用の写真などを撮って、放送終了後にアップします。
パーソナリティが帰る前には次回の内容や今後のことなども軽く打ち合わせ。
スタッフ全員で帰るパーソナリティをエレベーターまでお見送りします。
放送後の反省会
トラブルが起きたときには特に反省会を行う場合が多いです。
また、ここではパーソナリティ抜きのスタッフだけの打ち合わせで、パーソナリティにこんなことやあんなことをやってもらおう!という話題にもなります。
次回の放送の内容については、放送後に作家と打ち合わせをすることが多いです。
番組プレゼント当選者への発送手続き
放送中にメールやTwitterで参加して頂いたリスナーの中から抽選で番組プレゼントの当選者を発表。
主に番組アルバイトの方が発送手続きをすることが多いので、アルバイトの方が送り状なども作成します。
下記記事では実際に当選率がアップして選ばれやすいメールの書き方を記事にしています。
ラジオ生放送番組まとめ
ラジオの生放送では準備も大変ですが、放送中も気が抜けません。
唯一、ホッと気が抜ける瞬間が番組が終わった直後ではないでしょうか。
ラジオディレクターであれば、考えていた演出がうまく決まった!考えた企画が思いのほかハネた!など、ラジオ冥利に尽きることがあります。
ラジオは一人に語りかけるメディアです。
「リスナーの皆さん」ではなく「ラジオの前のあなた」という表現を使います。
制作者はより良いものを届けようと日々奮闘しています。
それはいちばん近くにいる存在でもある、リスナーからの叱咤激励が制作者を奮い立たせるからです。