ふだんよく耳にする『野球』『サッカー』『競馬』は、どのように制作されているのか?
言葉だけで状況を伝えるって大変だと思いませんか?
ふだん聴きなれているラジオでのスポーツ中継での実況。
実は様々なアイデアや工夫によって、聴かせ方に工夫をしているのです。
ラジオスポーツ中継の制作現場では何が行われているのか?を解説します。
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ラジオでのプロ野球中継の制作
基本スタイルは4人~6人体制
ラジオでのプロ野球中継の基本は4人体制のスタッフで行われています。
解説者、実況アナウンサー、ディレクターがそれぞれ長机に並んで座り、後列にミキシングを担当するミキサーが放送室にいます。
もちろんこの他にも、解説者のお弁当の買いだしやデータをまとめる中継アルバイトや、ホーム・アウェーチーム用のベンチレポーターもいることがあります。
全国ネットでの制作
全国ネットではキー局といわれる中継局が制作を行っています。
ニッポン放送と文化放送など。
ここでは自社の番組名を言うことはNGです。
必ず『ニッポン放送の制作で~』『文化放送の制作で~』と言うルールがあります。
そして全ての放送局が同時刻からの放送開始なら良いのですが、他局によっては放送開始時間が違うことがあります。
なので他局が放送を開始する時間にあわせて『ポーズ』と呼ばれる時間に実況アナウンサーは実況を一度止めます。
そしてポーズの時間を越えたら他局から聴き始めたリスナーが分かりやすいように、改めてプレイボール時間やイニング・得点、どちらがリードをしているのか?説明。
どこでCMに行くのか?も気になりますよね。
基本はイニング終了後。
これにも決められたルールがあります。
キューワードと呼ばれるアナ尻で各局はCMチャンスに入るのです。
イニング終了時「~〇〇球場は〇回表・裏を終わり、〇対〇で〇〇が〇点をリードしています!」
イニング中の投手交代時「~〇〇球場から〇〇対〇〇〇回戦を、〇〇の(解説・実況)でお送りしています!」
なぜこういったルールなのかと言うと、試合中はどこでCMに入ったら良いかわかりませんよね?
統一の『ワード』を言うことによって、CMチャンスに入るルールを決めています。
では、CM明けはどこからしゃべり出せば良いのか?
これもイニングを〆る『キューワード』を言ってから70秒後にしゃべり出すという決められたルールがあります。
例えば投手交代時では1試合何回のCMチャンスを設けるのかも決まっているのです。
他局からの委託制作
現在では例に漏れず、制作費が削られている放送局がほとんどです。
例えば関西が地元のホームチームが関東での遠征の試合を中継するには、地元局はスタッフ分の旅費や解説者の手配など、さまざまな出費が予想されます。
なので、その場合は関東のキー局に委託制作をお願いすることになります。
全国ネットとの違いといえば、ポーズと呼ばれる時間は当然ありません。
放送局は委託をしてきた局だけのローカル放送となります。
ですので、放送局独自の企画なども委託先にお願いしやすいのですよね。
中継中のスタッフの役割
解説者
呼んで字のごとく解説をします(笑)
野球に関してはプロなので、特にディレクターから指示は出しませんが、その日のポイントや番組企画への協力など、中継中の番組の流れを事前に説明して協力して頂きます。
実況アナウンサー
番組開始から番組終了まで進行しながら、試合を実況して描写します。
それこそリスナーの頭に映像が浮かぶように、逐一イニング、時間、得点、選手は右なのか・左なのか?、守備体系や何球目か?球種は?などありとあらゆことを細かくモニターも見ながら描写をします。
特に大事なのは途中からラジオを聴き始める人にすぐ試合の状況を伝えることができるのか?
これも大事なポイントになってきます。
特にイニング・得点。どちらがリードをしているのか?は、真っ先にファンが知りたい情報ではないでしょうか。
情報アナウンサー
全国ネットでは両チーム情報を兼ねる場合がありますが、基本は一塁側・三塁側にマイクを設置するので、担当チームの情報をレポートします。
また試合前に取材した情報や、試合中のホームランコメントやタイムリーコメントなども随時中継中にレポートを入れます。
試合終了後は、放送時間までに間に合えば監督談話などもレポート。
3連戦なら前日か翌日に実況を担当するので、試合の流れも把握して生かしやすいです。
ディレクター
局によってスタイルは違いますが、基本的に試合中はスコアシートの作成、投球カウンタの操作。
スタジオとのやりとりやCMあけのキュー出し、他球場の速報チェック、記録の調べものなど。
球場での現場終了の〆時間は本社から連絡が入り、ディレクターが放送室全員に上がり時間を指示します。
その他ツイッターの更新や解説者のタクシー、次回のスケジュール確認など。
ミキサー
試合時のミキシングは全て球場にいるミキサーにかかっています。
実況の声とお客さんの完成の声などのバランス等。
試合中はディレクターと連携しながら、音作りを進めていきます。
中継アルバイト
解説者のお弁当やスタッフの飲み物などの買い出し。
試合中は他球場の速報をランニングスコアに書き込んで随時ディレクターに手渡します。
アルバイトスタッフもディレクターと連携しながら中継を進めていきます。
試合終了後の流れ
基本は試合が終われば現場スタッフはヒーローインタビューやまとめも含めて、試合終了から15分~くらいで現場は終了します。
しかし番組はそういうわけにはいきません。
試合が早く終わるときもあれば遅く終わるときもあります。
早く試合が終わった場合は局のスタジオで、その日に行われたプロ野球の試合を実況音声を交えて振り返りなど。
また、キー局は全国ネットで試合が早く終わりすぎた場合には各局に向けて決められた時間まで、番組制作の保証をします。
これは後フィラー番組と呼ばれていて、別のスタジオで制作されます。
スタッフがいちばん焦るのが、早く試合が終わりそうな展開になった時では?(笑)
いざそうなった時のために、試合前や試合中に準備をしています。
ラジオでのサッカー中継の制作
基本スタイルは野球と変わらず
スタッフの人数は基本、野球と変わりありません。
中継スタイルはピッチレポーターが1人の場合や、ニッポン放送などではゴール裏にもスタッフを配置して、より臨場感を伝えています。
全国ネットでの中継はワールドカップくらいしかありません。
局によっては全く中継をしない場合もありますし、どちらかといえば地方局の方が中継回数は多いのではないでしょうか?
中継時の描写
これも基本的には野球とスタイルは一緒です。
前半〇分経過してどっちがリードしているのか?誰のゴールで得点が決まったのか?
これを途中から聴き始めたリスナーにもわかるように、1分に1回くらいの頻度で実況アナウンサーは伝えています。
ユニフォームの色は?右から左に攻めているのはどっち?メインスタンド側なのかバックスタンド側なのか?など。
前半後半とCMチャンスが特にないので、ハーフタイム中にすべてのCMを打ち切ります。
カップ戦ではない通常のJリーグのリーグ戦であれば、延長もありませんし時間も読みやすいです。
なので、2時間しか番組の枠をとっていない場合はヒーローインタビューすら入らない局が多いと思います。
サッカーは展開のスピードが図抜けて早い。
特に映像を見ながらradikoのアプリを聴かれている方だと、radikoの遅れが気になって仕方がないと思います。
ラジオでの競馬中継の制作
基本スタイルと中継時の描写
これもスタッフはほぼ野球と同じです。
ただ当然、ベンチレポーターやピッチレポーターはいません(笑)
ですが、中継スタイルは多種多様です。
全てのレースを伝えている局もあれば、メインレースのみ。
パドックから本馬場入場~メインレースまでなど。
基本、実況アナウンサーはレースの中継時は双眼鏡を持ちながら馬を追って描写しています。
先頭は〇番の〇〇、2番手は〇番の〇〇、最後方は〇番の〇〇など。
実況もレースによって交代するので、同じように双眼鏡を持ってアナウンサーは後方に立って練習しています。
入線後のオッズや払い戻しなどは即座に別スタッフがプリントアウトをして実況アナウンサーやディレクターに手渡して読み上げてもらいます。
まったく競馬に興味がないスタッフが新任で着任すると、二極端になります。
買いまくるか、一切買わないか(笑)
競馬の当たりハズレは性格が出るので、本当に面白いですね。
ものすごい暗い顔をして帰るスタッフもいますし・・・
ラジオでのスポーツ中継まとめ
日々、ラジオから聴いているスポーツ中継の現場では様々なことが起こります。
それはスポーツがライブで行われているからこそ、ドラマが生まれるのだと思います。
ふだん何気なく聴いているラジオから流れてくるスポーツ中継。
映像がない分、リスナーにストレスを与えないように工夫を重ねています。
この記事を読んだ方は、中継中の現場の裏側も想像してみると面白いかもしれませんよ?
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